「排卵誘発剤を使用するにあたって、副作用が気になっている」という方も一定数いるでしょう。
排卵誘発剤は不妊治療を助けてくれる薬剤ですが、少なからず副作用はあるため、きちんと理解しておくことが大切です。
ここでは、排卵誘発剤の副作用について解説します。
排卵誘発剤の軽微な副作用
排卵誘発剤には内服薬(飲み薬)と注射剤があり、体外受精のとき以外はまず内服薬から始めることが多いです。内服薬は3種類ほどありますが、重篤な副作用が認められることはあまりありません。 ですが、頭痛や食欲不振、嘔気、発疹が出ることが稀にあります。
これらの副作用を感じた場合は、内服を中止すれば治ることがほとんどです。鎮痛剤や吐き気止めなどを一緒に飲んでも大丈夫です。また、排卵誘発をするときには薬の種類の変更を試みます。
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排卵誘発剤の重篤な副作用
内服薬ではめったにありませんが、注射薬では投与量や投与回数が増えると肝機能障害や卵巣過剰刺激(卵巣が腫れたり腹水が出たりする状態)などが生じる場合があります。また、多数の卵胞から同時に排卵すると、双子や三つ子など多胎妊娠の可能性が増すことがあります。
卵巣過剰刺激については、事前に採血で確認しているホルモン値から、副作用の起こりやすさをある程度推測できます。当院では、副作用が起こりやすいと思われる方に対して、あらかじめ量を抑えて投与するなど慎重に誘発を試みることで発症を予防しています。
ただし、慎重に誘発を試みても、稀に過剰になってしまうことはあります。その場合は、いったん治療を中止して、卵巣の腫れがひくまで休むことが優先されます。腫れた卵巣から過排卵になって多胎に至るのを予防するためにも、その周期は排卵誘発治療は中断し、夫婦生活を避け、避妊していただきます。その周期に妊娠が成立した場合、さらに悪化しやすく、血管内脱水を起こし血栓ができると、脳梗塞など命にかかわる状態にいたってしまう恐れがあるためです。
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排卵誘発剤で副作用が起こる理由
おもに注射薬の排卵誘発剤で卵巣を直接刺激した場合、刺激過剰になるとたくさんの卵胞が同時に発育して、卵巣が大きく腫大します。さらに、血管から水分が腹腔内に浸み出して腹水となってお腹の中にたまり、腹膜を刺激するため、腹痛や吐き気などの症状が出ます。重症な場合は胸にも胸水が出て、息苦しくなったり咳が出たりすることもあります。同時に血管内は脱水状態となるので血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。
このような重篤な副作用は排卵した後に起こります。排卵しなければ少しお腹がはっても重篤な合併症は起こりません。
排卵誘発剤の副作用はいつまで続く?
内服薬による軽い副作用は、通常であれば内服中止で速やかに軽快します。
ただし、卵巣にて複数個の卵子が発育して排卵し、特に妊娠した場合、重篤な卵巣過剰刺激症候群に至ると1週間~数週間にわたって症状が続くことがあります。この場合、外来通院もしくは入院管理で点滴をしながら脱水を緩和させるとともに、飲水量・尿量など水分の出入りを慎重に観察します。
妊娠が成立しなかった場合、月経がくると症状は急速に改善します。排卵誘発後に腹痛や吐き気など体調不良があれば、我慢せず医師に相談してください。
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排卵誘発剤の副作用は軽減できる?
内服薬で副作用が認められた場合は、別の薬剤に変更することで対応します。注射剤の場合もアレルギーなどの副作用が認められれば、もちろん別の薬剤に速やかに変更します。
当院では副作用が出やすい人を把握し、注射剤の投与量を減らしたり、投与頻度を減らしたりするなどの個別の調整で副作用を出にくくし、安全かつ有効な排卵誘発を行うように努めています。
なお、生殖補助医療・体外受精のために注射で複数個の卵子を排卵誘発するときは、卵巣過剰刺激症候群という合併症が起こりやすくなります。しかし近年は、副作用軽減のために採卵後に保険で投与が認められている内服薬(カバサール)や、さらに重症化が危惧されるときに投与できるレトロゾールや注射薬(ガニレスト)で予防治療を行うことができるようになりました。これにより症状が軽減され、重篤な卵巣過剰刺激症候群が起こることは近年減ってきました。
排卵誘発剤の副作用で太るって本当?
太ることは通常ありません。稀に一時的なむくみによる身体の水分貯留で体重が重くなることはあり得ますが、数日で元に戻ります。一時的なむくみを対策したい場合は、生活習慣を見直したり、漢方薬などを併用して代謝を改善して水分貯留を防ぐなど、個別に対策を講じることになるでしょう。
排卵誘発剤の副作用でだるいと感じる場合の対処法は?
だるいと感じることも頻度としてはかなり少ないですが、通院の疲労なども重なるとつらいこともあるでしょう。だるいと感じる場合は来院時に相談していただき、サプリメントや漢方薬を併用したり、軽い運動習慣をつけたりと、それぞれの事情に合わせて体調の改善を図ることが必要となります。気持ちが落ち込まないようにすることも大切です。
通院の負担をなるべく減らし、家事や仕事を家族と分担したり、職場に理解を求めたりと、工夫してつらさを軽減する方法はあります。我々もお手伝いいたしますので相談してください。
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排卵誘発剤を用いた不妊治療は当院にご相談ください
当院では、保険診療で認められているすべての排卵誘発剤を準備しております。個別に卵巣の状態や通院可能日数などを検討して適切な誘発法を選択し、副作用の少ない治療を心がけています。
万一副作用が認められた場合もすぐに相談できる体制があるので、不安なときは納得がいくまで相談してください。排卵誘発治療はあくまで治療の選択肢であり、無理に勧めることはしないので、一緒に最善な治療方法について考えましょう。