
自由診療の治療を併用すると、本来保険診療で実施できるものも全て自由診療となってしまいます。しかし、先進医療として実施されている医療技術に限り保険診療との併用が可能となります。
先進医療を選択する場合の負担費用
当院における先進医療の種類
タイムラプス
タイムラプスインキュベーターは顕微鏡機能を持つカメラが内蔵されており、受精卵を一定間隔で自動撮影し観察を行うことができます。これにより受精卵を外に出すことがないため、ダメージを減らすことが可能です。つまり、受精卵にとって良い環境を作れます。
また従来では観察することができなかった胚の分割や成長速度の異常などがよく分かり、正常に発育する胚を見分けることができます。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
EMMA/ALICE(子宮内細菌叢検査)
子宮内に生息している細菌の種類と量(子宮内フローラ)を特定する検査です。
子宮内細菌叢の異常が検出された場合、抗菌薬治療が検討されます。またそれと同時に子宮内膜の健康な菌であるラクトバチルスも追加する必要があります。
ラクトバチルスの割合は妊娠に大きく関わっているため、割合を上げ、子宮内環境を改善することで着床・妊娠率の向上が期待できます。
また慢性子宮内膜炎は、不妊症患者で約30%、習慣性流産や着床不全患者では約70%に関係していると言われています。子宮内膜炎の原因に関わる細菌の有無を検出することで、検出された病原菌に対する治療をすることが可能となります
ERA(子宮内膜受容能検査)
ERA検査は世界で初めて開発された、着床の窓を調べるための検査です。
着床の窓には個人差があるため、この検査を実施することで、ご自身に最適なタイミングで胚移植を行うことができます。
採取した子宮内膜を用いて遺伝子の発現を解析し、内膜組織が「着床の窓」と呼ばれる着床に適した状態であるのかを調べます。
スクラッチ(子宮内膜擦過術)
子宮内膜を柔らかいブラシなどで部分的に擦って軽微に損傷させることで、胚の着床・妊娠率の向上を目指す技術です。
胚移植を予定している前周期の黄体期(排卵後頃)に実施します。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
SEET法(子宮内膜刺激法)
受精卵の培養を行った培養液を、胚移植数日前に子宮内に注入する技術です。
培養液中の胚由来の因子や着床継続を促す情報伝達物質が子宮内膜を刺激し、胚移植の前に胚が着床するための準備を促せると考えられており、着床に適した子宮内環境を作り出すことが期待されています。
胚盤胞の凍結融解胚移植の際に実施可能です。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
二段階胚移植法
二段階胚移植は、受精させてから2〜3日目の初期胚と胚盤胞を同じ周期に時期をずらして胚移植する方法です。一段階目に移植する初期胚がシグナルを送り、子宮は着床の準備を始めます。
着床の準備が整った子宮内へ二段階目の胚盤胞を移植することで、着床率が上昇すると考えられています。
※当院ではSEET法を実施した方のみを対象とさせて頂きます
詳しくは、以下のページをご覧ください。
膜構造を用いた生理学的精子選択術(ZyMotスパームセパレーター)
ザイモートは精液処理法の一つです。通常は密度勾配遠心法という遠心分離によって精液の処理を行っています。
ですが、この方法は多くの工程を必要とするため時間がかかること、遠心分離により精子に物理的損傷を与えてしまうデメリットがありました。
精子に物理的損傷があると細胞膜が破壊され、活性酸素が発生します。活性酸素に長時間暴露されると、精子のDNAが損傷すると言われています。
ザイモートは、特殊なフィルターと精子の運動性を用いて、良好運動精子を回収する方法です。遠心分離による物理的損傷がないため、精子DNA断片化の進行が軽減されます。
デメリットとしては、従来の方法よりも精子調整後の精子回収量が少なくなってしまう点です。
子宮内フローラ検査(子宮内細菌叢検査)
子宮内フローラ検査とは、子宮内に存在する善玉菌の割合を調べる検査です。
これまでは、受精卵のベッドである子宮内は無菌だと考えられていましたが、実は腟内と同様に子宮内にも細菌が存在することが発見されました。
細菌にも様々な種類があり、善玉菌が減るなど、子宮内の状態が乱れてしまうと、着床・妊娠しない、また妊娠しても流産や早産の原因となる可能性があると考えられています。
検査の結果を元に子宮内環境の改善を目指し、着床に適した子宮内環境を作ることで妊娠率の上昇を目指していきます。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
PICSI(生理学的精子選択術)
ヒアルロン酸を用いて成熟した精子を選別、使用し顕微授精を行う方法です。
精子には未熟なものと、DNAの損傷の少ない成熟したものがあるとされています。顕微授精では体内や体外受精の過程で自然に行われている成熟精子の選別が省略されてしまっています。
このことから形態学的評価のみで精子を選別し顕微授精を行うと本来卵子の中に侵入できない未熟な精子が注入されてしまう可能性があります。その結果として受精率や胚の発生率が低下し流産率が増加するという報告があります。
成熟した精子の頭部にはヒアルロン酸と結合する受容体がありますが、未熟な精子には受容体がありません。
そのため精子をヒアルロン酸が高濃度に含まれている中で泳がせると成熟している精子にはヒアルロン酸が結合するため重くなり動きが鈍くなり前に進めなくなります。未熟な精子にはヒアルロン酸が結合しないため動きに変わりがありません。
PICSIを行うことによって、よりDNA損傷の少ない成熟精子を選択することが可能となります。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
当院における先進医療の費用

名古屋市の先進医療費助成制度について(令和8年度より開始予定)
名古屋市では、令和8年度(2026年度)より、保険診療と併用して実施される「先進医療」の費用を一部助成する新たな事業が開始される予定です。
この制度により、これまで全額自己負担だった先進医療の費用負担が大幅に軽減されます。当院で実施している先進医療も多くが対象となります。
助成制度の概要(予定)
| 項目 | 内容 |
| 助成金額 | 先進医療にかかった費用の10分の7(70%)相当額 |
| 助成上限 | 1回の治療につき上限5万円 |
| 対象となる方 | ・婚姻(事実婚含む)をしている方 ・治療開始時に女性の年齢が43歳未満の方 ・夫婦のいずれかが名古屋市内に住所を有している方 |
| 助成回数 | 保険適用の回数に準ずる(40歳未満:通算6回まで / 40歳以上43歳未満:通算3回まで) |
実施スケジュール
・対象となる治療: 令和8年(2026年)4月以降に開始した治療
・申請受付: 令和9年(2027年)1月より開始予定
名古屋市以外の方はお住まいの自治体にてご確認ください。
これからの治療計画や、助成金を含めた費用の詳細についてご不明な点がございましたら、診察時に医師またはスタッフまでお気軽にご相談ください。