子宮内膜受容能検査(子宮内膜着床能検査)とは
子宮内膜には胚の着床に最適な時期(着床の窓)があります。この時期に胚移植を行うことで妊娠率が高まります。
しかし、着床の準備が整っていないときに胚移植をすると、たとえ良好な胚でも着床しないことがあります。
子宮内膜着床能検査(ERA:Endometrial Receptivity Analysis)とは、子宮内膜が胚の着床に適しているかどうかを調べるための検査です。この検査では、ホルモン補充周期を想定して、プロゲステロン投与開始から約5日後の時点で、子宮内膜が着床可能な状態かどうかを遺伝子レベルで判断します。
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子宮内膜受容能検査の仕組み
子宮内膜組織を採取し、248個の遺伝子を解析します。これらの遺伝子は子宮内膜着床能に関わる重要な因子を含んでいるため、解析によって子宮内膜が胚を受け入れる準備が整っているかを評価できます。
子宮内膜受容能検査の目的
着床の窓がずれている場合、子宮内膜受容能検査を行うことでそのタイミングを特定し、最適な時期に移植を調整することが可能になります。
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子宮内膜受容能検査のメリット
子宮内膜受容能検査により子宮内膜にとって理想的な移植時期を診断することにより、生殖補助医療による妊娠成功率を高めることができます。
子宮内膜受容能検査を実施すべき方
・良好胚移植を複数回行っても妊娠しない方(反復着床不全の方)
・子宮内腔に問題が見つからないにもかかわらず、胚移植が成功しない方
子宮内膜受容能検査と子宮内膜日付診の違い
子宮内膜日付診とは、子宮内膜が胚着床できる状態にあるかどうかを推定する病理組織検査です。
排卵後5〜6日目に子宮内膜の一部を採取し、顕微鏡下で観察することで子宮内膜の特性から排卵後の日数を推定します。ただし、観察者によって誤差が発生するため再現性が低いという問題点があります。
また自然周期の場合には排卵までの日数の違いなど周期による変動が予想されるため、その有用性には限界があると考えられます。
そのため、近年では診断や治療のために行われることはなくなってきました。
これに対して子宮内膜受容能検査では、実際に胚移植を行う周期とほぼ同一条件下で子宮内膜にある、着床に関する遺伝子を解析することができるため、再現性が高く、個々の着床可能時期が推定できます。
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子宮内膜受容能検査の実施方法
当院では移植周期と同じようにホルモン補充周期で準備し、移植日と同じタイミングで組織を採取します。
※自然周期での検査をご希望の方は医師との相談になります
<流れ>
1.月経3〜5日目に来院いただき、エコーで内膜や卵巣の状態を確認し、問題なければエストロゲン製剤の使用開始
2.月経12日~14日頃に子宮内膜の厚さの確認とホルモン採血を実施
3.ホルモン検査の結果でプロジェステロン投与開始日を0日とし、5日目に子宮内膜組織を採取
*採取方法
膣内を十分に洗浄して、吸引用子宮カテーテルにて子宮内膜組織を採取します。
また、他の着床不全の原因を調べる検査である、EMMA検査(子宮内膜マイクロバイオ-ム検査=子宮内膜の細菌叢を調べ、その中の乳酸菌の割合を調べる)とALICE検査(感染性慢性子宮内膜炎=子宮内に炎症性の感染症に関連する菌がいなかどうかを調べる)の2つの検査も、子宮内膜受容能検査と同時に行うことが可能です。
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子宮内膜受容能検査を実施した後の対応
子宮内膜受容能検査により、生検時の子宮内膜の状態が最適だったのか、ずれていたのかがわかります。
着床の窓が一般的な女性と同一だとしても、子宮内膜受容能検査により、胚の移植時間をさらに特定できます。
検査結果で推奨された時期に従い、黄体ホルモンの開始日をずらすことで、最適な時期での胚移植を行います。
子宮内膜受容能検査の再実施
5%以下の割合で、検査に必要な十分な量の細胞や質の高い細胞を採取できないことがあります。その場合、再度の生検が必要となります。
また1%以下の割合で、検査結果が有益ではないと判断されることがあります。この場合も再度生検が必要となります。
子宮内膜受容能検査の注意点
・検査を行った周期は、胚移植を実施することができません
・出血、痛み等を伴う場合もあります
・検査結果が出るのに3週間程度かかります
・検査の結果によっては、再度検査を行う場合もあります
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当院における子宮内膜受容能検査の実施費用
保険適応がなく自費の検査になりますが、子宮内膜受容能検査は先進医療のため保険治療との併用が認められています。
子宮内膜受容能検査のみ:132,000円(税込)
子宮内膜受容能検査・EMMA・ALICE:154,000円(税込)
※検査当日にお支払い
当院の子宮内膜受容能検査について
当院では、胚移植を複数回実施しても着床に至らない方や流産を繰り返す方に対して、子宮内膜受容能検査を導入しています。
ただし、最近ではこの検査について、「着床の窓がずれている患者さんがどの程度いるのか」「検査が妊娠率の向上に対してどれだけ効果があるのか」といった点で、科学的な証拠(エビデンス)が十分ではないという指摘もあります。
それでも、原因不明の難治性不妊症の選択肢の一つとして検討され、子宮内膜が胚の着床に最も適したタイミングを科学的に分析することで、治療をさらに効果的に進めることを目指しています。
当院では子宮内膜受容能検査は先進医療として認められ、先進医療として検査を実施することが可能です。
経験豊富な医師が検査と移植をスムーズに行い、結果に基づいた最適な移植スケジュールを提供していきます。
また検査時の痛みへの対策として、痛み止めの使用などの工夫も行なっています。胚移植が困難な方や胚移植時の痛みが強い方の場合は、検査時の吸入麻酔の使用検討なども行なっています。
子宮内膜受容能検査は、一部の患者さんにとって有用な場合がありますが、すべての方に効果が保証されているわけではありません。そのため、検査を行うかどうかは、患者さんのこれまでの治療歴や状況に応じて慎重に判断する必要があります。患者さん一人ひとりに合わせた負担の少ない、高度な治療を重視しています。
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