不妊治療における開腹手術

開腹手術とは

不妊治療では、子宮や卵巣に関する病気がある場合や、腫瘍などの摘出が必要な場合に開腹手術が選ばれることがあります。特に、腫瘍が大きい場合や癒着が高度な場合、または腹腔鏡では十分に治療が難しいと判断された場合に適しています。

不妊治療で開腹手術が選択されるケース

1. 子宮筋腫摘出術

子宮筋腫摘出術は、子宮筋腫だけを取り除き、子宮を温存する手術です。次のような場合に、開腹手術が選ばれることがあります。

  • 子宮筋腫が非常に大きい、または複数ある状態で、指先で直接触れたり、術中に直接超音波を当てたりして取り残しを減らしたい場合
  • 子宮壁の奥深くに筋腫ができている場合
  • 子宮が他の臓器(腸や膀胱など)と強く癒着している場合

これらの状況では腹腔鏡手術が難しいと判断されることがあるため、開腹手術が適した選択肢となります。

2. 卵巣嚢腫摘出術

卵巣嚢腫摘出術は、卵巣嚢腫だけを取り除き、卵巣そのものを温存する手術です。次のような場合に、開腹手術が選ばれることがあります。

  • 病変が大きく、構造が複雑な場合
  • 悪性の可能性がある場合
  • 小腸、大腸、子宮などの他の臓器と強く癒着している場合

特に、腹腔鏡手術だと他の臓器が損傷するリスクが高く、大出血が予想される場合に、開腹手術が推奨されることがあります。

不妊治療で開腹手術を選択するメリット

不妊治療で開腹手術を選択するデメリット・注意点

開腹手術の流れ

1.手術日の決定

まずは超音波検査を実施し、状態をさらに詳しく調べるためにMRIによる精密検査を行います。医師による手術の説明があり、手術日を相談します。

その後、手術日の1ヶ月前ごろに術前検査(採血・レントゲン・心電図)などを実施します。開腹手術の入院期間は9日間程度です。

2.入院(手術日前日)

13時に来院していただき、診察後に入院病棟へ案内します。

病室で問診、同意書等の確認、入院生活・手術日から退院までの流れなどの説明をします。手術前の処置として、下腹部(陰部)の除毛をします。

3.手術当日

起床後、検温をしてから浣腸をします。
シャワー浴をして術衣に着替え、持続点滴を開始します。
手術は1〜2時間程度で終わります。

術後はストレッチャーで帰室し、夜間も術後の経過を見ていきます。
※ご家族には13時頃に来院していただきます。手術中は必ず病室でお待ちください。術後、医師から説明があります。

4.手術後〜退院

術後1日目尿の管を抜き、歩行開始です。腸が動き出しおならが出たら食事開始です。歩くことで血栓・癒着の予防にもなります。できるだけ身体を動かすように心がけ、日常生活に近づけるようにしましょう。
術後2日目持続点滴が終了します。
術後4日目採血をして、術後の経過に問題がなければシャワー浴開始です。徐々に日常生活に近づけていきます。
術後7日目診察と抜鈎(傷口の縫合に使用した医療用ホッチキスを取り除く作業)をして、傷に傷跡をケアするテープを貼ります。医師の許可が出れば退院となります。

当院における開腹手術の実施費用

開腹手術による入院費:22万円〜(保険適用)

入院日数・検査・食事・部屋代などの費用により変動があります。

当院の開腹手術について

当院では近年、腹腔鏡手術が主流となっていますが、画像診断や不妊治療の経過を考慮して開腹手術を選択する場合があります。開腹手術は腹腔内を執刀医が直接見て、病巣部に直接触れることができます。

当院の経験豊富な医師が触った感覚とMRI画像、不妊治療歴を照らし合わせながら、無事に妊娠出産に至るにはどのような手術が良いかを常に考慮しながら治療していきます。

ご希望や状態に合わせて最適な治療計画を立て、安心して治療を受けていただけるようサポートいたします。